カナダ在住の被爆者であるサーロ節子氏が4日、都内で講演した。
13歳での被爆、北米で広島について語る難しさ、核兵器廃絶への信念。
話は1時間近くに及んだ。
大学卒業後に渡米。
当時、”原爆投下が戦争を早く終わらせた”との見方が根強く、核兵器廃絶を訴える氏に脅迫まがいの非難もあった。
だが氏は犠牲者のためにも「沈黙してはいけない」と自らを鼓舞し、語り続けた。
講演会の会場から”多様な背景を持つ人々といかに思いを共有するのか”との質問があった。
氏は、証言活動をすれば、かつて日本軍の被害にあったアジア系の人々から反発されることも多いと述べつつ、だからこそ「誰もが持つ個々の”物語”に耳を傾けることから始めます」と。
一人一人の心の痛みや問題に寄り添い、理解しようとする時に初めて、信念を共有する「信頼の土台」ができると語った。
被爆者が人生を懸けて紡いできた対話が、70年余を経て今、世界的な核廃絶の潮流を生み出しつつある。
大きな理想の実現には、地道な一歩を粘り強く積み重ねる以外にないと改めて思う。
最後に氏は言った。
近年、核兵器をめぐる問題は人道の議論が主流となり、「人間」が思考の中心に戻ってきたと。
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