『広辞苑』を開いた折、ふと「道」の文字が目に留まり、説明文に驚いた。
「道の意の『ち』に接頭辞『み』がついてできた語」とある。
例えば「家路(いえじ)」は「家」と「ち」が合わさり、読み方が濁ったものだという。
一方の「み」は「御心(みこころ)」のように敬意を表している。
いにしえの日本人は”ち”を、「人」や「食」を運び、「命」をつなぐための大切なものと考え、その”ち”を開いた先人に感謝して「みち」と称したのだろうか。
日本画の巨匠・東山魁夷氏の代表作「道」は、青森の種差海岸をモデルにしている。
氏は遠くにある丘の上の空を少し明るく描き、ゆるやかに上る道が右上がりに画面の外え消えていくように描いた。
すると、「これから歩もうとする道という感じ」が強くなったと述懐していた。
広辞苑の「道」の後には「未知(みち)」という文字があった。
その歩みのその先で、まだ見ぬ未来が待っている。
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