脳を損傷した人の治療に役立つものに
「経験的な言葉」がある。
手の不自由な患者に手をあげるように言う。
すると「力が入らない」と言う主観や、
「動かない」という客観の答えが返る。
”ではどんな感じか”と尋ねると
「鎧を着ているみたい」。
これが主観と客観の間にある
「経験的な言葉」。
そこで「軽い鎧を着ているように動けますか」と呼び掛けると、
手が動き出す兆しを見せるそうだ。
現実に起きていることを「経験的な言葉」で表現すると、
脳内の仮想現実に合った動作が準備されるという。
作業療法士の菅原洋平氏は、
スポーツでも好調なチームほど”力まずいこう”などと声を掛け合うのは、
こうした行動を促す言葉の力を知っているから
と指摘する。
友を励まし、動かす「言葉」は寄り添う真剣さの中で紡ぎ出されるものだろう。
それが蘇生への大きな希望となる。
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