作家の吉川英治氏は、新聞や雑誌などで、同時に小説の連載を抱えていた時期があった。
雑誌の小説を書いて、新聞小説の執筆に移るのは、頭の切り替えが難しかったという。
「ものを書くという仕事は生活を深まさせてはくれるが、同時に、人生を短くするようにも思われてならない」と吉川氏は言う。
執筆に取り掛かると、作品中の人物が夢にまで登場し、睡眠を妨げられることもあった。
小説を書くことは、文豪にとって命を削る”戦い”だった。
氏は小説を書く時、「希望的である」ということを原則とした。
大衆文学を読む人のほとんどは、日々の生活に苦闘している。
そうした人々の心に、希望の火を灯すことを信念とした。
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