ささやかな感謝

先日、友人が職場での研修の様子を語っていた。

それは数人のグループで「自分以外の全員に対して“感謝”を伝える」という内容。

一人について1枚ずつメモに記していく。

最後に一枚一枚、皆の前で読み上げられた。

 

といっても決して特別なものではない。

「朝のあいさつが、すがすがしい」

「あなたの笑顔にいつも癒されます」

「昨日、仕事を手伝ってくれて助かりました」

「今の私があるのは、あなたの支えのおかげです」。

読み上げられるたびに拍手が起こり、笑顔が広がる。

その場は何とも言えない高揚感に包まれたという。

 

こうした”ささやかな感謝”は、思っていても、なかなか伝える機会がないもの。

だが、言われて嫌な気持ちになる人はいないだろう。

感謝するという行為は、相手の言葉や振る舞いを貴重なものと捉え、心の中で大切にしてきた証であるからだ。

 

スイスの思想家ヒルティは言った。

この世の小さいものに注目せよ

それは我々の人生を、よりゆたかにし、より満ち足りたものにする

(秋山英夫訳)

振り返ってみれば、日々の中で”当たり前”のものなど何一つない。

 

一年を締めくくる師走。

どんなに些細なことでも、感謝を言葉にして伝えたい。

その言葉が家庭や職場を変え、人生を潤していく。