”対話”により多くの古典落語をよみがえらせた落語家 桂歌丸 

Leica M4 / Summicron 5cm f2 (Tri-X400)
コラム

「どんな噺(はなし)でも、対話をするのが落語」

と語ったのは「笑点」などで活躍した桂歌丸さん。

「真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)・小熊の懺悔(ざんげ)」など

多くの古典落語をよみがえらせた。

 

といっても、

古い文献通りに演じると

現代の人々に通じない部分が出てくるので工夫は欠かせない。

歌丸さんの演じた「いが栗」には、

サゲ(オチ)が2通りあったそうだ。

その日の客層や会場の雰囲気によって

臨機応変に筋を変えたという。

 

「今日の客はやりにくいなって

いうようなお客が来てなきゃダメなんだ」

「そういうお客を

こっちへ引っ張りこむようでなけりゃ」

と歌丸さん。

噺(はなし)の中だけでなく

客席とも”対話”しながら作品を仕上げていった。

『歌丸 極上人生』祥伝社黄金文庫

 

相手の立場に立ってこそ

対話は実りあるものとなる。

まず話を聞き、

気持ちに寄り添い、

何ができるか共に考え始める。

自分の心を働かせれば

相手の気持ちも動き出す。

この自他共の心の成長こそ、

対話のもたらす果実に他ならない。